チャレンジしている企業には、国などが応援してくれる制度があります。ここに掲載されている事例をヒントにぜひ活用されてはいかがでしょうか。
◆経営革新事例集概要
(1)国が基本方針を策定・公表
基本方針の内容
①新事業活動の内容
・新商品の開発又は生産
・新役務の開発又は提供
・商品の新たな生産又は販売の方式の導入
・役務の新たな提供の方式の導入その他新たな事業活動
②数値目標
・付加価値額( 営業利益+人件費+減価償却費) または1人当たりの付加価値額、及び経常利益( 営業利益-営業外費用)
・計画は3~5年で作成
・計画終了時の付加価値額の伸び率は、9%~15%( 年率3%以上の伸び)
・計画終了時の経常利益の伸び率は、3%~5%( 年率1%以上の伸び)
③その他配慮事項
・計画進捗状況についての調査( フォローアップ調査) =承認行政庁等経営革新とは、事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいいます。
(2) 中小企業者等( ※) が基本方針を基に経営革新計画を作成
( ※) 個別中小企業、任意グループ及び組合等が対象
(3)申請
(4)都道府県知事等に承認申請計画の承認
・案件が個別中小企業等によるものについては、都道府県知事が承認
・全国団体等による広域のものについては、大臣が承認
(5)承認を受けると各種支援策の利用が可能( 別途支援機関の審査が必要)
・中小公庫等による低利融資
・信用保証の特例
・税制措置
・特許料の減免
・販路開拓コーディネート事業等
◆段階別経営革新支援策
STEP1( 動機付け)
・最寄りの商工会・商工会議所のセミナー
・県支援センターが開催する経営革新を目指す者を対象にしたセミナーや講習会
・国、自治体等の施策紹介のHPや印刷物
・経営革新企業等が参加しているイベント
・融資相談の際の政府系金融機関、民間金融機関等による施策紹介等
STEP2( 計画作成支援)
・自治体や県支援センター等の窓口相談及び専門家派遣事業
・シニアアドバイザーセンター等による窓口相談及び専門家派遣事業
・実際に必要とされる支援策の実施機関との相談等
STEP3( 計画申請・承認)
・単独申請の場合は、最寄りの自治体
・複数の企業が自治体をまたいで申請する場合は、国( 所管省庁の地方局、経済産業局、所管省庁の本省、中小企業庁)
STEP4( 支援メニュー:「今すぐやる経営革新」等をご覧下さい)
・必要とされる支援策の実施機関へ申請( 計画の承認は、支援措置を保証する
ものではなく、利用を希望する支援策の実施機関の審査が必要。)
①設備投資を行いたい者→ 政府系金融機関の低利融資、信用保証の特例
②設備投資を行いたい組合等→ 上記+高度化融資制度
③設備投資を行いたい小規模企業者→ 設備資金貸付制度の特例
④設備投資を行った者→ 設備投資減税
⑤同族関係者で大幅な収益のあった者→ 留保金課税の停止措置
⑥株式公開を目指す未公開株式会社→ ベンチャーファンドからの投資
⑦資本金の充実を図りたい株式会社→ 中小企業投資育成(株)からの投資
⑧首都圏・近畿圏で自社商品をテストマーケティングしたい者→ 販路コーディネート事業
⑨首都圏・近畿圏で自社商品を出展したい者→ 中小企業総合展
⑩開発した新商品を特許出願したい者→ 審査請求料、特許料の減免
◆個別事例
①三和食品(株)(関東局-群馬県)
「品質と誠意」を胸に「ブレンド大根おろし」を開発 ~一歩先の食文化を見つめた「オンリーワン」製品の開発~
1955年に長野の粉わさび製造業者であった三和物産(株)から販売権を譲り受け、独立して営業所を開設。その後、1974年に三和物産(有)を設立。日本で初めて業務用小袋の「おろし生しょうが」、「おろし生にんにく」の販売を開始した。1999年に息子の石川徹也副社長は、社長である父親から懇願され、思い悩んだ末、充実した教員生活をやめて入社した。現在、副社長は、大学院の経営学研究科リサーチコースに通い、大学院での研究者と食品製造業経営者の両立で、「現場主義の研究者」をめざしている。
この副社長が入社した頃から、この企業は動きだした。まず、考えたのは、これまでの商品構成では価格競争に勝てない、消費者の食品の品質を見る目は厳しい、これからは地場の野菜を使って香辛料や調味料を作れないか。幸いにも群馬県の太田及びその近郊には大根、大和芋がある。そんな思いから、添付。用の「大根おろし」、「とろろ」を開発し、販売した。しかし、オンリーワンの創作調味はこれではなかった。
2003年には、大根おろしに果汁エキスやわさび等の食品素材を入れた「ブレンド大根おろし」の研究開発に取り組む3ヶ年の経営革新計画を作り、群馬県から数回の助言を受けて、遂に経営革新支援法の承認企業となった。
〇食の安全・安心のために「HACCPシステム」を導入
会社の経営理念は、「品質と誠意」。三和は三つの輪であり、小輪が自然の恵み、中輪が品質管理、大輪が誠意とサービス。経営革新の「ブレンド大根おろし」の開発を機に、「HACCP(危害分析重要管理点)システム」に対応した新工場の建設に着手した。これに必要な設備資金は、初めて取引した中小企業金融公庫から快く低利の融資を受けることができた。他に群馬県制度融資(リーディング支援資金)を受け、研究開発のために経営革新補助金も受けることができた。
副社長の創作調味への追求は、その後も更にすすみ、業務用「生すりとろろ」、「ブレンドとろろ」の開発へ。そして、(財)群馬県産業支援機構の専門家派遣事業を活用し、アレルギー物質25品目を一切使わない、玉ねぎ、レモン、大根おろしの3種類のドレッシングにも着手した。このドレッシングは、全国で初めて大豆が含まれる醤油を使わないことで、病院、薬局、福祉施設等で話題になっている。更に、「カット野菜」の分野まで開発が進み、夢は大きくふくらんできており、5年後の売上構成をがらりと変える構想を掲げている。
この中には、ユニークな食品コンサル事業での売上も見込まれている。副社長は「これらの多面的な開発ができるのは、経営革新で行った『ブレンド大根おろし』の研究開発が基礎にあったからだ。」と話した。充実した教員生活の経験からか、従業員教育にも力を入れ、「人財教育」と名付けて、毎日、品質管理等の教育訓練を行っており、「経営革新計画は、従業員の会社への意識を変えたことが大きい。残業への取り組みも大きく変わった。」と副社長は熱っぽく語った。
「現場主義の研究者」が中心となって、小さくともきらりと光る香辛料・調味料・惣菜づくりに邁進するこの企業から目が離せない。
〇経営革新計画承認テーマ
ブレンド大根おろしの開発。大根おろしの顧客ニーズは高く、より顧客満足度を高め、中食産業への深耕を図るため、大根おろしの新食感として「生姜おろし」、「梅おろし」、「キムチおろし」、「山葵おろし」、「桜おろし」等のブレンド大根おろしの開発
※計画承認月 平成15年7月
※使った支援策 政府系金融機関低利融資、県制度融資、経営革新補助金
②(有)一柳(九州局-福岡県)
リボンクリッピーの便利さをより多くの方に実感してほしい。 ~時勢に合わせ変革を遂げてきた会社~
初代が裸一貫で福岡の地を訪れ、飴屋に弟子入り後、独立したのが始まり。2代目が1949年に「和菓子店菓舗一柳」として創業、和菓子の製造・販売を手がけ、皇室献上ができるまでになった。1970年代頃から洋菓子時代の到来を察知し、ホテルのウェディングケーキ製造に着手したのをきっかけに和洋折衷の業態に変革。職人に恵まれ、洋菓子製造の基礎が築かれた。現在の3代目になってからは店舗展開に努め、市内や近郊の大型商業施設に出店し、商業施設開発者から出店依頼が来るようになった。なお、和菓子部門は店舗販売から撤退し、外商部門で結婚式の引出物を主な対象としている。
〇悩みの種の「リボン結び」を均一化・効率化して経営革新
引出物用の引菓子は週末には5千箱や1万箱の規模で注文が入る。ここでネックとなったのがラッピングのリボン結びである。手間暇がかかる上、出来栄えに個人差が生じ、問題となっていた。そんな現場を経験していた納富部長が改善策を検討した末、誰でも簡単にリボン結びのラッピングができる「リボンクリッピー」を考案した。
「リボン結びの問題はデパートや菓子、雑貨業界など、様々なギフト関連業の現場で問題となっているはず」そのように考えた納富部長が「リボンクリッピー」の商品化を志した折、日頃つきあいのある社会保険労務士から経営革新制度を紹介され、福岡県経営金融課に相談。新事業として、「リボンクリッピーの製作と販路開拓」という新たな経営革新に取り組むこととし、2001年3月、経営革新計画の承認を得た。「頭に思い描いていた事業計画を紙に落とすことで、より明確に意識づけされ、期が終わる毎に進捗状況を確認することで、現状やこれから取り組むべき課題を把握することができた」と納富部長は振り返る。
2001年4月に「リボンクリッピー」を特許申請し、さらに同年度の経営革新補助金を活用し、「リボンク
リッピー」の金型試作とパンフレット、ホームページ作成や業界紙への広告といった販路開拓に取り組んだ。
開発した「リボンクリッピー」を使うことで、ラッピング作業の効率が格段に向上し、品質の均一化を
実現するとともに、生産性向上によりリボンの使用量と人件費の節減にもつながった。また、今回の経営革新をきっかけに数々の展示会に出展したことで、メディアに取り上げられ、受注拡大につながった。
〇「リボンクリッピー」の更なる利便性を求めて
申請中だった特許は無事に取得し、商標登録や海外での特許取得も行った。目下の課題は、より細かく顧客のデザイン要望に応えることである。「今後は大手菓子メーカーやノベルティ(景品)メーカー向けにオリジナルクリップを販売強化し、フランス、アメリカへも販売を計画中である」と納富部長は熱く語った。
〇経営革新計画承認テーマ
ギフト・ラッピング用リボンクリップの開発と販路開拓
※計画承認月 平成13年3月
※使った支援策 経営革新補助金、政府系金融機関の低利融資
③(株)シーズ(沖縄事務所-沖縄県)
④(有)ティークラフト鳴嶋園(関東局-静岡県)
⑤猪村工業(株)(中部局-愛知県)
⑥(株)オリム(四国局-愛媛県)
⑦(株)脇木工(中国局-岡山県)
⑧東葛工業(株)(関東局-千葉県)
⑨(株)アステス(中部局-岐阜県)
⑩(株)アーテック・ツガワ(中国局-広島県)
⑪ミナミ産業(株)(中部局-三重県)
⑫池上金型工業(株)(関東局-埼玉県)
⑬(株)ニッコー(北海道局-北海道)
⑭(株)ブルー工房(四国局-徳島県)
⑮(株)川秀(東北局-岩手県)
⑯ハイパーテックジャパン(株)(関東局-静岡県)
⑰(株)ファインズコーポレーション(九州局-大分県)
⑱平林金属(株)(中国局-岡山県)
⑲(株)アートマルワ(近畿局-奈良県)
参考 平成18年度版経営革新事例集

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