◆エコフィードの推進状況
エコフィードとは、食品残さを原料として加工処理されたリサイクル飼料のことであり、社団法人配合飼料供給安定機構はエコフィード(Ecofeed)の登録商標を使っている。
日本国内の食料自給率は先進国の中で最も低く、2007年には、ついに40%を切り、特に飼料穀物はそのほとんどを輸入に依存している状況下にある。
一方、食品製造業、食品流通業、外食産業等からは食品製造副産物、余剰食品、調理加工残さ等が大量に廃棄され、その多くは焼却処理されているのが現状である。
これらの背景と地球環境問題や資源の有効活用の面から、食品残さ(農水省・環境省は「食品循環資源」と提唱している)を飼料化していくことが求められるようになった。
平成17年5月12日、食料・農業・農村基本計画における飼料自給率目標達成のため、国、都道府県、農業者・農業団体、食品産業事業者、飼料関係団体等が、有識者の助言を得つつ、適切な役割分担の下、一体となって、「飼料自給率向上に向けた行動計画」を策定、実行、点検する「飼料自給率向上特別プロジェクト」が発足した。
当プロジェクトでは、「自給飼料増産に向けた取組」「エコフィード(食品残さの飼料化)の推進」が柱となっている。
平成17年3月に策定された新たな「食料・農業・農村基本計画」において、平成27年度に食料自給率45%の達成を目指し、飼料自給率の向上が重要な政策課題のひとつとして位置付けられた。これを受けて発足したのが「飼料自給率向上戦略会議」(以下「戦略会議」)である。
我が国の飼料自給率は、平成15年度では、粗飼料で76%、濃厚飼料で9%、飼料全体で24%となっている。
これに対し、平成27年度目標として、粗飼料の分野で、国産稲わらの飼料利用の促進、耕種農家と畜産農家の連携による稲WCSの拡大、放牧の促進等を通じて完全自給(自給率100%)を目指すこととし、戦略会議の下に組織されたのが「全国飼料増産行動会議」である。
一方、濃厚飼料の分野については、食品製造副産物など食品残さの飼料利用拡大等により自給率目標の14%を目指すこととし、エコフィードという新たな政策課題の推進母体として組織されたのが「全国食品残さ飼料化行動会議」である。
これら一連の「飼料自給率向上特別プロジェクト」の中で、飼料全体では自給率35%を目指すこととし、エコフィードの取組がその一翼を担うこととなっている。
◆エコフィード利用の現状
食品残さの飼料利用の実態については、中小家畜での利用が多くみられるが、大家畜においても、ビール粕やパン屑等の純植物性の食品資源の利用形態がみられる。
また、エコフィードの原料となる食品産業から発生する食品資源についてみると、農林水産省統計部のデータ(「平成16年食品循環資源の再生利用等実態調査結果の概要」)によれば、平成16年度では、食品産業全体で1,136万トンの食品資源が発生している。
このうち、食品製造業からは、品質、内容が明らかな食品資源が大量に供給されると考えられるが、現状でも廃棄・肥料化されているものを合わせると350万トン程度に上り、これらは有用な飼料化資源として捉えることができる。
食品残さ飼料はその原料となる食品残さの水分含有量が多く、常温では腐敗や臭気の発生等の危惧があるため、様々な技術によって飼料化が取り組まれており、基本的な種類と技術は次のようなものがある。
① 乳酸発酵(サイレージ調製)技術
原料を密封埋蔵すると糖質を基質とする乳酸発酵が行われ、雑菌による変質が防止される特性を利用したものである。青刈トウモロコシや牧草等のサイレージ利用が一般的だが、野菜屑、ビール粕、おから等を利用することもある。
② 乾燥技術
様々な手法が開発されているが、いずれも水分を取り除くことで、腐敗を防ぎ、長期保存を可能にする技術である。課題としてはエネルギーコストが大きくなる点があげられる。
乾燥の方式には、油温減圧脱水乾燥方式、ボイル乾燥方式、高温発酵乾燥方式、高温乾燥方式がある。
③ 湿式処理(リキッドフィーディング)技術
原料と水や牛乳を混合し、スープ状にして、パイプラインにより給与する方法である。
湿式処理の方式には、リキッドフィーディング方式と発酵リキッドフィーディング方式 がある。
乳酸菌を増殖させ、pH4程度に調製し、雑菌の繁殖を抑えるのが発酵リキッドフィーディング方式である。
製造時のエネルギーコストは大幅に抑えられ、給与した際の乳酸菌による免疫力向上や腸内細菌叢の安定等に効果的だが、長期保存はできない。
◆法規制
エコフィードを製造・販売するときには、遵守しなければならな法規制がある。
⇒「食品リサイクル法(食品循環資源の再利用等の促進に関する法律)」
食品リサイクル法は、大量消費・大量廃棄型社会から循環型社会への転換が急がれる状況の中で、食品廃棄物等の排出の抑制と資源としての有効利用を推進するために平成12年に制定された。
食品関連事業者による食品循環資源の再生利用等の取組みを促進するため、再生利用事業計画制度の見直し等所要の措置を講ずることとなり、改正法案が平成19年3月2日に閣議決定され、第166回通常国会に提出、12月1日に施行された。
今回の法改正では、食品循環資源の再生利用等を一層促進するため、これら食品関連事業者に対する指導監督の強化と再生利用等への取組を円滑にする措置が講じられている。
⇒「飼料安全法(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律 )」
飼料安全法とは、飼料及び飼料添加物の製造等に関する規制、飼料の公定規格の設定及びこれによる検定等を行うことにより飼料の安全性の確保及び品質の改善を図り、もつて公共の安全の確保と畜産物等の生産の安定に寄与することを目的とする法律(同法第1条)である。
食品残さ飼料を製造、販売していく際に最も留意するべき点として、安全性の確保が最優先事項とされている。
昨今、畜産物については、BSEや偽装問題をはじめ、ポストハーベスト、遺伝子組み換え飼料、抗菌剤の大量投与等様々な問題が露呈し、消費者の間で安全性の確保に対して関心が高まっていることから、この食品残さ飼料の普及においても安全性確保を優先して推進していくことが、関係者間での合意事項となっている。
農林水産省消費安全局では2006年8月に「食品残さ等利用飼料の安全性確保のためのガイドライン」を制定し、原料排出、収集、製造、保管、給与等の各過程における管理の基本的な指針を示している。
⇒食品安全基本法
食品の安全性の確保についての基本理念を定め、関係者の責務や役割を明らかにし、基本的な方針による施策の総合的推進を目的としている。食品関連業屋における責務や消費者の役割が明確化されている。
⇒家畜伝染病予防法
家畜の伝染性疾病(伝染病)の発生の予防、及び蔓延の防止について定めた法律である。

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