ここに、財務分析の考え方の一例をあげたいと思います。
財務データを分析することを「財務分析」といいます。企業の現況判断は、「財務データの分析」と「非財務データの分析」で総合的に判断する必要があります。
1.財務分析について
企業の内容を決算書やその他の経営資料などから分析します。そして、分析結果をもとに自社の経営状況の評価(PDCAのC)を行うことも目的のひとつとなります。
(1)分析に用いるデータ
①財務データ:貸借対照表や損益計算書など ②非財務データ:人的項目(従業員の生産力)、物的項目(機械の性能)、景気動向など
(2)財部分析の留意点
分析する際、次のような点に留意する必要があります。
①金額=数量×単価であること。
例:売上高が伸びた場合、数量が伸びたのか、単価が上がったかまで検討。
②全体を構成する部分までブレークダウンする
例:売上高を検討する場合、製品別、事業所別、販売先別などにまで掘り下げて検討。
③期間比較を行い異常値を発見する
経営環境に大きな変化が無い場合に、異常な変化をする項目があれば、その理由を検討する必要があります。異常値が認められない場合でも、全体を構成する部分どうしで相殺されている可能性を検討します。
④同業種の標準的と思える比率と比較する
官公庁などが公表している標準数値を使って比較検討します。
⑤同業種の他の企業と相互比較する
同業種の優良企業や同等企業と比較検討します。
⑥比率の業種別相違に留意する
製造業と小売業やサービス業の比率の検討、製造業でも生産方式(見込生産か受注生産か)が異なる企業の比率と比較検討します。
(3)財務分析の目的
自社の現況を理解し、将来の動向を見極めることを目的としています。そのためには、次の4点について分析する必要があります。
①収益性・・・自社の儲ける力を判断
②安全性・・・自社の支払能力を判断
③生産性・・・人、物、金等の投入量から産出量を判断
④成長性・・・企業の成長度合いや存続性を判断
分析は、収益性の分析からスタートします。まず、元手(資本)でどれだけの利益を獲得したかを分析します。それは、「資本利益率」で示されます。
次に、ブレークダウンさせ、売上高との関係と投下資本の運用効率を分析します。前者は「売上高利益率」で、後者は「資本回転率」で示されます。
貸借対照表や損益計算書の増減や項目の関連性などを検討して安全性や生産性や成長性を分析します。資金の円滑な流れが企業にとって必要条件です。資金の流れは「資金分析」で行います。
(4)財務分析の方法
①実数法
実務では、2期またはそれ以上の決算書を比較し、各区分や科目の増減を見る方法がとられます。単純に数字の増減を比較する方法や「資金運用表」などを作成して、資金の流れを分析する方法もあります。
②構成比較法
全体に対する各科目の割合を百分比(パーセント)で表すものです。例えば資産全体を100%とし現預金30%棚卸資産50%のように表示します。これを数期分並べることで、各科目の変化の動向をとらえます。ある期だけ異常な数値を示したり、徐々に大きくなっていないかを探します。異常値を示す科目に合理的な説明ができるかどうかがポイントです。
③趨勢法
ある決算期を基準として各科目の数字を100とし、その後の決算期の実数を百分比で指数化して示す方法です。この方法は、主として損益計算書科目の伸び率をとらえるために使われます。売上や利益の品目別の変化等の把握に有効です。
④関係比率法
関係ある各科目相互間の割合を示す比率です。次の3つがあります。
1)貸借対照表の各項目間の関係を示す比率
例:「流動比率」「当座比率」
2)損益計算書の各項目間の関係を示す比率
例:「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」
3)貸借対照表と損益計算書の各項目間の関係を示す比率
例:「棚卸資産回転率」「売上債権回転率」
各比率が示す意味は様々で、分析の目的で使う比率が違ってきます。この方法は状況を端的明瞭にとらえることが可能です。そのため、分析手法として広く用いられています。
(5)1期だけの決算書を見るときのポイント
①貸借対照表のポイント
資本の調達が、自己資本か他人資本かを見ます。
1)資本と負債の割合
多くの負債は金銭支出をともないます。一方、自己資本は企業内部で循環し増殖します。従って、資本の割合が高いほど安定的で高収益が期待できます。
2)資本のうち剰余金の割合
利益剰余金が多いほど、当期を含めて過去の収益力と蓄積が高いといえます。
3)資本のうち資本準備金の割合
資本準備金の割合が高いと時価発行の増資などを行ってきたことを示します。将来の無償交付や増配などで短期的な収益性を損いかねません。
4)資本のうち資本金の割合
資本金の大きさは、発行済株式数の大きさに比例します。資本金の割合が小さいほど経営成果(利益)が社内に蓄積されます。
5)借入金や社債の有無と総資本に対する依存度
借金や社債への依存度は、収益力や財務体質の良否に直結する問題です。いわゆる「有利子負債」の問題です。
6)売掛債権と買掛債務のバランス買掛債務が売掛債権よりも異常に多い場合は、危険な状態だと判断できます。
②損益計算書のポイント
利益が出ているか、どの段階で出ているかを見ます。
1)利益が出ているか
第一に当期利益が計上されているかを見ます。次に、どの段階で利益が計上されているかを見ます。営業外収益や特別利益によって当期利益を計上していないか、その度合いが高くないかを見ます。これによって「本業」の状況を判断できます。
2)税引前利益と法人税住民税などの計上額との関係
一般的税率(約50%前後)と大きくかけ離れていないか。税法上の損金とされる項目や繰越損金などがあるかもしれません。
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