経営環境の変化等、様々な要因により会社の業績が悪くなり始めると、加速度を増して悪化し続ける例が後を絶ちません。
自分ではしっかりと資金繰りの対策を打っているつもりでも、実は、火に油を注ぐのと同じ行動になっていることがあり、悪循環に陥ってしまいがちになります。
ここでは、この悪循環のことを「負の連鎖現象」と表現しますが、実は、外部から会社に資金を投入した時点で、「負の連鎖現象」の入り口に立つことになっているのです。
この「負の連鎖現象」を放っておくと、「最悪の事態」に陥るケースもめずらしくないため、会社の経営を改善するには、この「負の連鎖現象」を断ち切ることが必要となります。
「負の連鎖現象」が発生する第1段階は「身の丈に合わない投資や借入を行う」ことから始まります。
本来、他人資本から資金調達を行う場合、それが適正な借入額かどうかは多面的に経営の現状をみて判断する必要があります。
しかし、実際には、①自社の商品力や販売力を過信する、②客観的な意見に耳を貸さない、③返済計画を甘く見積もる等によって、身の丈に合わない借入が行われています。
身の丈に合わない投資や借入を行うと、「自己資本比率の悪化→少し資金繰りが悪化→銀行などから借入→支払利息や借入返済の増加→赤字転落→資金不足」といった現象につながっていきます。
資金不足に陥ると「無理な売上UP対策」を志向するようになるケースが少なからずあるように思えます。
無理な売上UP対策は「利益なき受注」の増加を促し、「売上の伸び以上に経費が増大→利益減少・赤字拡大→資金繰りの悪化」といった現象につながっていきます。
この次の段階になると、一発逆転を狙った過大な借入や投資を行って、ますます利益が減少し、慢性的に赤字となり資金繰りが急激に悪化していく可能性が高くなります。
そして「累積赤字・債務超過に陥る→銀行借入が困難となる→銀行に行きにくくなる」といった現象につながっていきます。
銀行借入が困難となるため、何とか資金調達をしなければということで、個人の預貯金や保険の解約で資金繰りをカバーするケースも出てくることから、家族が会社経営を心配します。
しかし、この段階になると、経営者の頭の中は資金繰りばかりです。
再度、銀行に借入を依頼しますが、借入を増やしても資金繰りは悪化したまま改善できません。
そのうち、カードローンに手を出したり、友達や親戚に無心するようになりますが、利息が高いため、元金はあまり減りません。
加速度的に増加する累積赤字や債務超過で、完全に資金繰りに行き詰まります。
商工ローンや街金融に手を出しているケースも多く、弁護士に相談すると倒産を勧められることもしばしばです。
その後の人生の対策を打たずに倒産し、場合によっては最悪の倒産も有り得ます。
現在、中小企業にとって、本当に厳しい時代となっています。今のような厳しい経済環境では、5年先を厳しく見ておく必要があります。
高度経済成長期やバブル期は「身の丈に合わない投資や借入」は必要であるという考え方があったようですが、時代は既に変わっています。
大変失礼な言い方ですが、高度経済成長期を体験してきた経営者の方、その背中をみて育ってきた後継者の方・・・「時代が変わったことに対する危機感」の持ち方が実に様々あると感じます。
また、「我が社は営業力が強みである。売上増大を図り、この厳しい時代を乗り越えよう!」と、叱咤激励する声がありますが、「資金不足」を招かないよう注意が必要です。
先行きが厳しい状況下、最悪のシナリオを想定しますと、「売上至上主義」に陥ることは非常に危険と言わざるを得ない状況が続いています。
このような状況下、在庫削減、売掛金削減はもとより、事業の用に供しない不動産を売却し、特に短期借入金はすべて返済し、スリムで健全な財務体質を築くことが求められます。
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