売上高が激減して厳しい状況が続いている場合、落ち着いて冷静になり、合理的な判断を下す必要があります。
管理会計の教科書的な話ですが、撤退すべきか否かの判断を行うときにも、管理会計の埋没原価(意思決定に影響を与えないコスト)の概念を使うのも判断手法のひとつです。
例えば、食品製造A社の年間の生産数は100,000個で、そのコスト構成は次のようなものだったとします。
材料費:2,000万円、人件費:2,000万円、償却費:2,000万円→原価6,000万円
今、A社は売上不振にあえいでおり、ここのところ年間の売上は5,000万円で、毎年1,000万円もの赤字を計上しています。果たして、A社はこのまま事業を継続すべきなのでしょうか。それともすぐに事業継続を断念すべきなのでしょうか。
答えは「継続」となります。
何故なら、ランニングコスト(材料費+人件費の4,000万円)を上回る売上(5,000万円)があれば、損益上は赤字でもキャッシュフローで考えれば1,000万円の黒字(5,000万円-4,000万円)になるからです。
この時の「埋没原価」は償却費となります。
また、売上が更に4割下がって、3,000万円(生産個数では60万個)になることが予想される場合のことを考えてみましょう。
コストのうち材料費は変動費だとすると、このときの材料費は2,000万円x60%=1,200万円です。ということは、人件費を1,800万円(売上3,000万円-材料費1,200万円)以内に抑えることができれば、まだ事業を継続できます。
但し、ここにあげた例は単純なモデルであり、実際には、利害者集団との関係や借入金の問題等がある場合も多く、また、埋没原価以外の様々な数値を分析して決定する必要があります。
事業撤退には個人や組織のメンツの問題も含め、もろもろの感情が錯綜しますが、数字に基づいた「合理的」な判断が大切になります。
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