農業経営について

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福島県では農業が非常に厳しい局面に立たされている。勿論他産業も同様だが、復活のカギは何か、ヒアリング結果を通じて考察を述べる。

農業には、①震災・原発事故以前からあった課題、②震災・原発事故発生後に生じた課題、③TPP参加により新たに生じるであろう課題の3つがある。

 

震災・原発事故以前からあった課題は、産業政策・地域経済活性化策としての農業から、経営者重視・構造改革へのシフトである。経営が必要な日本の農業として、農業のビジネスモデルの模索たファイナンスの重要性が叫ばれてきた。

 

震災・原発事故発生後の課題であるが、現場レベルでみると、方向性としては、全袋検査は避けては通れないだろう。現在のコメの基準値は500㏃だが、今後さらに厳しくなることが予想される。最終的には50㏃程度になる可能性は否めない。

全袋検査を実施するということはかなりの労働力と時間を投入しなければならない。したがって、30㎏の袋をそのままベルトに載せて測定できるなどの方法が出てくれば、短時間で放射線量検査が可能になる。検査体制が長く続くとするならば、開発コストは回収できると考えられる。

要はどの袋が汚染されているかがわかればよい。その際、袋に封印することが必要である。放射性物質が残る間は証明体制を整備することが求められる。

安全・安心の基準を知り、お互いの交流や生活を豊かな方向へ、どういう生活スタイルを築いていくかが大切といえる。

 

TPP参加による課題については、若干説明を加えながら述べていく。

農林水産省の「国境措置撤廃による農産物生産等への影響資産について」によれば、TPPの基本的考え方として、高い水準の自由化、非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定をあげている。

FTAのような物品市場アクセスやサービス貿易だけではなく、非関税分野(投資、競争、知財、政府調達等)のルールづくり、新しい分野(環境、労働等)を含む包括的協定として交渉されている。    

農産物生産等への影響試算の前提として、19品目を対象として試算(米、小麦、甘味資源作物、牛乳乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵等)、基準は関税率10%以上かつ生産額が10億円以上(林産物水産物は含まない) としている。

試算の結果は以下のとおりである。

・農産物の生産額減少・・・4兆1千億円程度

・食糧自給率(供給熱量ベース)・・・40%→14%程度

・農業の多面的機能の喪失額・・・3兆7千億円程度

・農業および関連産業への影響   

・ 国内総生産(GDP)減少額・・・7兆9千億円程度

・ 就業機会の減少額・・・340万人程度

記載されている品目別試算を参考に、どの品目がどのように変わるかをまとめると、

・生産量減少率100%、甘味資源作物(てんさい、さとうきび)、でん粉原料作物(ばれいしょ、かんしょ)加工用トマト(ケチャップ原料)は、品質格差がなく全て置き換わる。

・減少率99%、小麦、国内産100%をセールスポイントとした小麦粉用小麦を除いて全て置き換わる。

・減少率99%、米、こんにゃくいも、

・減少率70~80%、パインアップル、大麦、牛肉、小豆、豚肉

・減少率40~60%、牛乳乳製品、落花生

・減少率20~30%、いんげん、茶、鶏肉、鶏卵

・減少率9%、かんきつ類、リンゴ、ストレート果汁は残り、濃縮果汁、缶詰は置き換わる。

となる。

現在、国が進める農業の再生に向けた方向性として、

① 農地の規模拡大

・今後5年間で農家の1戸・法人耕作面積を現在の10倍に拡大

・離農奨励金制度を創設

② 農協・農業委員会の改革

・農家からの買い取り販売事業の拡大

・農業委は組織のあり方について検討

③農家の成長を支援

・生産、加工・流通、販売まで手掛ける農業生産法人に出資するファンドを創設

・原則45歳未満の新規就農者に最長7年間、継続して奨励金を支給

④ 個別所得補償

・適切に推進。補助対象や「全国一律」の支給方法の見直しが課題。

があげられている。

農業関係者が最も注目する米には778%の関税がかかるが、一部関税なしでの輸入を義務付けられている。この輸入米の価格は160円/㎏台。これに対し、国産米卸価格は250円/㎏台で内外価格差は、少なくとも約1.5倍に上る。

東京都内での米の販売価格(ブレンド米除く)は、5キロで2000円~2400円程度である。小売価格の価格差も同等とみなせば、関税撤廃で1000円台前半の輸入米が並ぶ可能性がある。

年間約900万トンのコメ消費量の6割近くを占める外食・加工用でも、輸入品の存在感が増しそうで、国内農産物の内外価格差は、小麦2倍、砂糖3倍、牛肉3倍程度、安価な海外産の需要が増えるのは確実とみられる。

一方、野菜の関税率は既にほとんどが10%未満、果物も10%前後が大半で、「現状でも日本市場はオープン」とされる。安全性や品質面から国内産への支持が根強いこともあり、影響は限定的との見方もある。

ただ、残留農薬や遺伝子組み換え食品の表示規制など、国際的に厳しい日本の規制に対する緩和圧力が強まる可能性もある。

 

現在、農業者の高齢化が進んでおり、60歳以上2/3、60歳以下1/3といわれる。TPPをにらんだ稲作の方向としては「農地の集約化」がポイントとなってくる。

現在の農地は虫食い状態であり、土地所有者は担い手に委任していくことで、経営体質強化につながる。

輸入物は外食中心になる可能性が高いが、消費者は美味しい、安全、国産米がステイタスとなると考えられる。外食産業は(国産米+MA米)60%、一般消費者は40%の市場構成であり、安い原料で販売する立場と食べる立場が明確化してくると考えられる。

しかしながら、稲作の集約化は中山間地域では困難だろう。平場に集約化する方向となる。集約化が進めば地域の労働時間に余裕が出る。そうすれば、施設園芸や果樹への転向、あるいは別の地域活性化ができる。

やがて、農業者が減少し農地の集約化が進めば、企業、農業以外の専門経営者の参入が考えられる。施設園芸等を中心とした展開を中心に、棲み分けができてくる。

また、畜産は後継者が育たず、減少の一途を辿らざるを得ない状況となっている。 大規模畜産農家は残ると思われるが、美味しいもの、4A、5Aクラスをつくっているところに限られてきそうな気配だ。

 

いずれにしても、今後の農業は、経営としての農業へと向かわざるを得ないだろう。

そのためには、年間の経営改善計画が大切である。

とくにコメ作り、稲作には機械が必要となるが、機械を持った時に損益分岐点を超える傾向がある。儲かるレベルはどの程度か、把握が必要なところ。

ところが、儲けようと思うと、面積ばかりを追ってしまう傾向は否めない。そうすると過剰な労働が必要となる時期が来る。その結果ピーク時だけ雇用する。ことになる。

経営改善は時間管理から行うのが望ましい。いかにピークを崩していくかが課題である。高品質を維持するとともに、平準化させて労働管理を安定させる効果がある。

これからの農業経営は、時間を組み立てる手法を持たなくてはならない。やって試すのではなく、事前に組み立てておくことが重要となる。そのためのシュミレーションが必要。結果として品質管理の高度化、年間の雇用創出といった効果が得られる。

これからの農業は、経営感覚を持って臨む必要がある。経営は農業者でなくともできる。マネジメントする人が担う役割、労働する人が担う役割、明確化が必要。

今までの農業の考え方が続くものではない。生産量、農家数の減少が続いてきた。TPPをひとつのきっかけとするならば、高度化が進む。一般企業と同じ考え方、経営力が求められてくる。

 

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謹んで
震災のお見舞いを
申し上げます

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この度の東日本大震災により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
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